本書の最後で次のような提案を投げかけました。
この提案に合意できる人に、もう少し具体的な道しるべをお示ししたいと思います。
- 自分の持てる力を磨き、稼ぎ力を高めます。
- より質の高い生き方を求めて、ライフプランを作ります。
- お金の余裕が少しでもできたら、国際分散投資を始めます。
- お金を増やして得られる人生の成果を、具体的に決めます。
- 志の高い人と付き合い、メンターやコーチを作ります。
以下に、一つずつ解説をしていきます。
1.自分の持てる力を磨き、稼ぎ力を高めます。
仕事力といっても、人にはいろんな能力があります。
本人がそれを意識しているといないとにかかわらず、その能力に応じて人は給料や報酬を受け取ります。自分の強みを知っている人はいつも稼げますが、知らない人は稼げたり稼げなかったりとまばらです。
自分の力をつかんでいない人の収入は、外部環境に左右されます。景気、経営状況、経営者の資質、上司との人間関係、業界動向、顧客の質などの影響を受けます。環境が自分にマッチしていれば働きがいがあると感じ、ミスマッチがあると自分が生かされていないと感じてしまいます。
結局、自分のパフォーマンスが他人（自分がコントロールできないSomething）に支配されているのです。しかし、主体的に自分の仕事力を把握できていれば、それを生かす環境を自分で選ぶことで、正当な評価・報酬を受ける確率はぐっと高まります。
自分の仕事力を、正確に、詳細に知りましょう。
でも、仕事力っていったいなにでしょう？
仕事力には、たとえば次のような能力があります。
話す、書く、聞く、計算する、予測する、想像する、
教える、育てる、指示する、共感する、鼓舞する、盛り上げる
記憶する、記録する、比較する、推測する、分析する
企画する、関係づける、広報する、集計する、まとめる
音感、色彩感覚、平衡感覚、腕力、走力、
自信のある能力とそれが生かせた成功事例を５つあげてみてください。
それがあなたの仕事力のリソース(資源)です。
さて、自信が持てたなら、次は得意とする能力を徹底的に磨き上げ、最高レベルに持ち上げるために大量行動を長期間続けることを誓ってください。
最低でも１万時間は磨き続けたら、それなりに高く売れる非凡なリソース（資源）となるはずです。
2.より質の高い生き方を求めて、ライフプランを作ります。
昔は人並みであれば十分に豊かでした。
しかし、人並みでは現状維持すらむずかしい時代に私たちは突入しています。
困難な時代を生き抜いていくために強力なエンジンが必要ですが、その原動力となるのは、感情です。どんな感情かというと、願望がかなっていくことを期待するポジティブな感情、ワクワク楽しい感情です。
感情が生きる原動力になるということは、万人に共通な心の構造ですが、なにを願望とするか、どうなりたいのか、どんな未来がうれしいのか、これは十人十色です。
ライフプランを作るには、この得たい成果をはっきりとさせてください。
簡単にいえば、自分が人生で一番やり遂げたいことを決めてください。
たとえば・・・
- 自分の得意分野で日本一になりたい
- 自然豊かな田舎で人間らしく暮らしたい
- 将来はハワイでぜいたくに暮らしたい
- 自分のビルを持ちたい
- 本を出版したい
- 億万長者になりたい
さあ、あなたの脳がもっとも興奮する願望はなんですか？
それを夢と呼んでよければ、夢を実現するフローチャートが人生戦略です。
たとえば、田舎暮らしを選んだ場合には、次のようなフローが考えられます。
概念図
願望への障害と資源をリストアップ→現状で収入を最大化して資産形成→老後の生きがいを準備→老後生活資金の確保→田舎暮らし
戦略のダイナミックな変容のプロセスを丁寧に経年変化に落とし込んだモノが、ライフプランです。
田舎暮らしをテーマとすれば、こんなライフプランが創造できます。
ライフプラン
年代ごとに必要なステップを年表形式で書き込みます。
最後に、そのプランを経済的な裏付けを与えるための、キャッシュフロープランを作ります。
キャッシュフロープラン
キャッシュフロープランを作ってわかることは、この人が希望通りの田舎暮らしをするには、年平均で8％の運用が必要だということです。
この必要十分条件が3の国際分散投資の指針となります。
もちろん計画通りにはいかないのも人生です。
しかし、計画通りにいかなくても、指針のある人生と行き当たりばったりの人生では、道中の生きがいがまったく違います。
かの吉田松陰は、こう言いました。
「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に夢なき者に成功なし」
3.お金の余裕が少しでもできたら、国際分散投資を始めます
先ほどの人が希望通りに50歳から田舎暮らしを楽しめるようになるには、毎年8％ずつ自分のお金が増える必要があります。そうすれば、お金の心配のない状態で、自由に自分の願望を追い求めることができます。これが、願望を実現して不安をなくする挑戦するシナリオです。
8%というと過去の価格推移から見れば、世界中の株式市場に投資することが、もっとも実現可能な方法です。それをさらに安全に、簡単に始める方法は、毎月の余裕資金をつみたてのように投資をすることです。
これこそ、誰にでもできる失敗しない資産運用術なのです。
4.お金を増やして得られる人生の成果を、具体的に決めます。
人間が自分の潜在能力を出し切るには、熱い動機と高い志が必要です。
熱い動機と高い志を得るためには、4の投資を実行しながら、3の作業を何回も繰り返す必要があります。なぜなら、最初の願望が本物とは限らないからです。
年を経て、様々な経験を積んでから思う願望は、その人の体験なりに変化をします。
20代には海外に憧れ、30代には家庭の平和に目覚め、40代には自分の限界に悔し涙を流し、50代になって初めて人生の目的を知る、なんてことはよくあるのです。
だから、最初に作ったライフプランが絶対ではないし、縛られてはいけないし、何回か見直す必要があります。そのときの軸になるものが、あなたの価値観なのです。
つまり、人は心底から達成したいと思っている願望の裏側に貼り付いている本当の価値観に気がつく必要があるのです。
3で書き出した願望や成し遂げたいこと、達成したい成果とは実現可能なことでしたね。その追求を試行錯誤しながら、終わりのない目的にたどり着きたいということが、4での作業です。
行き当たりばったりで生きている人はいませんが、人生に一点のゴールをイメージして進んでいる人もあまりいません。願いながらも日常に流されていく、そんな平凡さが苦労の元なのです。
あなたが最優先する価値観を明確にしてください。
人生で一番実現したい価値を決めて、その他の願望はすべて「一番実現したい価値」の支配下に置きましょう。
価値といわれても思い浮かばない人には、次の６つのキーワードを参考に使ってください。
- 貢献
- 成長
- 安定
- 重要
- 挑戦
- 愛
まずは、この６つのキーワードを優先順位に並べてください。
そして、それぞれに該当するあなたの具体的な願望を例示してみてください。
同じキーワードの中にも、複数の願望があると思います。
それらも優先順位に並べてください。
思いつく、書き込む、並べ替える、追加する〜この作業を繰り返していくうちに、最上位に来る願望こそ、あなたがいま人生で成し遂げたいと思っているものです。
人生で一番大事な価値観が決まったら、願望が変わるかもしれません。
それに合わせて、ライフプランを修正し、キャッシュフロープランも修正しましょう。
お金は食っていくために必要なのではありません。
あなたの価値観を実現するためのさまざまな体験を得るためにお金が必要なのです。
夢なんか要らない、理想なんて無理と思わないでください。
平凡に幸せに生きていくなんて実はむずかしいのです。
世界ナンバーワンのコーチといわれるアンソニーロビンスはセミナーでこう言いました。
「現実はExcellentでなければ生き残れない。それ以外は、GoodもBadもジリ貧という意味では同じなのだ」
と。
楽をしようとするから人はイバラの道を歩みます。
楽を求めるから、一生たいへんな生き方しかできないのです。
しかし、苦有れば楽有りと言われる通り、初めに苦労をしてエクセレントのレベルに到達すると、その後には豊かで楽な人生が開けるのです。
5．志の高い人と付き合い、メンターやコーチを作ります。
「貧乏になる人はだれとでも仲良くなろうし、お金持ちになる人は付き合う人を選ぶ」という言葉あります。人脈は大事です。
それから、「尊敬する人はだれですか？」という問いに、答えられない人が増えているような気がします。理想の人物モデルも重要です。
人間は環境に左右される生き物です。
毎日どんな人たちの中で過ごし、働き、遊ぶかであなたの思考は決まってきます。
ですから、あなたが人生をたくましくエクセレントに生き抜きたいのなら、環境を自分で作ってください。もっとも簡単なことは付き合う人を選ぶことです。
気安く付き合える友もうれしいですが、居心地の良さだけに流されてはいけません。
時には、別世界に飛び込んでみることも必要です。
居心地が悪くなるような、コンプレックスを感じてしまうような、自分を情けなく思ってしまうような、そんな格上の人たちとの接触を避けてはいけません。
あなたが尊敬できるような相手であれば、あなたを見下したり笑ったりは決してしないはずです。むしろ、親切にしてくれて、あなたの好意に応えようとするはずです。その懐に飛び込んで、志の高い人たちがどんな人付き合いをしているのかを学んでください。自分を高めるには、避けて通れない道です。
友だちや仲間は多い方がいいし、良い友、志の高い仲間ほど良いのですが、できればメンターと呼べるような「人生の師匠」も作ってください。
私には5人のメンターがいますが、「もし今の自分の状況にメンターＡ氏が置かれていたらどうするかな？」と考えてみると、解決策が浮かんでいます。5人もいるのは、それぞれが登場する分野や場面が異なるからです。得意なメンターに得意な場面で助言をお願いしています。
メンターとは、その人自身がお手本となるような指導者、あるいは支援者ですが、コーチは、あなたの内面にあるパターンや姿勢を気付かせてくれるプロです。手本を示したり教えてくれたりはしないのですが、自分の中にある洗剤能力を引き出してくれるはずです。
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一緒に、豊かな人生を切り拓いていきましょう！